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競争のグローバル化、業界再編が進む石油業界。その中で、日本石油、三菱石油の企業合併により経営基盤を磐石にする新日本石油は、販売物流統合システムを中核とする基幹業務システムを刷新。同時に、音声と情報システムの帯域を柔軟に設定でき、高セキュリティかつ経済的な「Arcstar IP-VPN」は、同社の事業発展に合わせた拡張性に富み、将来的にもグループ全体のネットワークインフラにふさわしいという理由で採用された。 導入の結果、従来と比較して通信費が半減、これらにより生じた経営リソースを新規事業に充当するなど、資本の選択と集中が実現した。同社では、海外拠点との接続などを見据え、新ネットワークをさらに発展させていく予定だ。 |
「1999年に日石三菱として再スタートを切り、経営の統合にともなう業務効率化に向けた各種施策を展開してきました」と話すのは、新日本石油株式会社 情報システム部長 三中茂氏だ。
日本石油と三菱石油が合併して誕生した新日本石油は、両社の人事、管理部門の統合によるコスト圧縮、各系列SS(サービスステーション)の一本化などの業務改革を相次いで打ち出してきた。その背景には石油業界に横たわる、「特石法」の廃止以来進展する規制緩和や、アジア諸国をはじめとする海外資本の流入からくる競争のグローバル化、業界再編の動きがある。 これに対して、同社では石油の探鉱・開発から輸入、備蓄、精製、物流、販売までを一貫して受け持つ操業体制で臨み、業界トップのポジションを揺ぎないものとしている。さらに、経営リソースを石油以外の、電気、ガス、石炭、燃料電池システムの開発などにも振り向け、総合エネルギー企業へのビジョンを明確にしている。 三中氏は「このように石油会社から総合エネルギー企業へ生まれ変わる中、その前提として、業務面での統合に加えて、販売・流通に関するシステム、ネットワーク面の統合が必要でした」と当時を振り返る。 業務の中核となる販売物流統合システムなどの基幹システムの見直しおよび、日本全域に配置された複数の事業拠点を結ぶ円滑な業務プロセスを構築するためには、情報流通に不可欠なネットワーク基盤全体の改革は避けて通れない課題だった。 |
システムの再構築にあたっては、「各部門の業務改革と基幹システムの統合を両輪とする合併準備委員会が設立され、組織・権限や業務スタイルのあり方も含めた抜本的な解決策を探りました」と話すのは、情報システム部 情報インフラグループマネージャー 横山滋氏。
この検討委員会の場で、情報システムについては、最新の情報技術を導入する基本方針が策定された。これに基づき、需給生産系システムや販売物流統合システム、SSシステムおよび管理系システムなどは各SIベンダとのパートナーシップにより、短期間でのシステムによる合併効果の早期実現を図ったのである。しかし、ネットワークに代表される各システムの共通基盤だけは、今後の拡張性や運用管理面を重視し、不揃いにならないよう一本化しておく必要があった。 共通基盤の再構築を担うこととなった共通インフラプロジェクトでは、インフラに対する要件をアーキテクチャ、マネジメント、セキュリティなどの多角的な観点から検討を開始。 「グローバルに通用するオープン技術を積極的に利用したシステムを構築することを基本に、将来的なVoIPによる音声通信の統合も踏まえ、IP統合ネットワークの構築を決めました。『Arcstar IP-VPN』であれば、網機能による優先制御機能を利用することができるため、帯域を柔軟に割り当てられるようになる上、高品質なネットワークを経済的に利用できます。一方、広域イーサネットも選択肢にありましたが、VoIPを行う場合に各通信拠点に帯域制御装置を配備し運用する手間などが懸念されました」と横山氏はIP-VPNを選択した理由を説明する。 新システムでは、サーバーをデータセンターに一括集中させ、管理効率の向上、セキュリティ機能を集約するアーキテクチャを採用するなど、情報インフラを総合的に検討され、IP-VPNを企業ネットワークインフラに採用することで最終的に決着した。 また、従来のようにATM交換機などの設備を自前で保有せずに、キャリアの設備、運用ノウハウを活用することから、全国均一のサービスを提供するカバレッジと、データ通信と音声通信の品質をバランス良くチューニングできる高度な技術をもち豊富な導入実績があるNTTコミュニケーションズがパートナーとして選ばれることになったのである。 「NTTコミュニケーションズをはじめNTTグループには、過去にVoIPの構築実績もあると聞いており、安心して任せることができました」と情報システム部 情報インフラグループ主事 望月衛氏は語る。 |
「Arcstar IP-VPN」では、本社と13カ所の支店、全国各所の製油所、出荷基地など全国約170拠点を結んでいる。さらに、石油元売会社とのEDI(企業間電子商取引システム)にも適用し活用範囲を広げている。
また、大きな目的のひとつであったVoIPについても、「NTTグループの構築サポートのおかげで、VoIPに切り替えたことに気がついているエンドユーザーは全くいないといっていいほど、スムーズに移行できました。稼働後も音声品質に関するトラブルは全く起きていません。本来、音声は少しのパケットロスも許されない非常にデリケートな分野なので大変驚いています。また、通信費も大幅に削減することができ、目的は達成されたと考えます」と望月氏は満足感を表す。 従来のATMネットワークとPBXによる音声通信を併用していた当時は年間6億円近い通信費がかかっていたが、IP-VPNに移行後は合計帯域が2〜5倍に増強されたにも関わらず、年間で約3.5億円とほぼ半減した。 運用管理面では、NTTコミュニケーションズにアウトソーシングすることで、故障時の切り分けなども短期間で実現できるようになった。 「以前の網構成は各エリアにツリー状で接続されていたネットワークであったためトラブルの原因究明に時間を要することがありましたが、『Arcstar IP-VPN』への移行後はシンプルな網構成になったため、はるかに短時間でトラブルを処理できるようになりました。また、出荷基地の改廃や新規事業に伴う新事務所の設立など、ネットワークの新規敷設や帯域アップが急がれるケースでも、数週間程度で開通可能となり、たいへん助かっています」と横山氏は話す。 こうして、システム面の統合も進められた結果、調達から製造、物流、販売、決済に至るSCMの構築が完了。当初のスケジュールどおり2002年4月には、新システムが本格稼働している。 ■Arcstar IP-VPN導入前後のネットワーク図
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IP化がビジネス標準になる、という先見性が見事奏功し、先進的なネットワークを石油業界の中でもいち早く作り上げた同社。その手応えと自負がビジネスを進める上でも、大きな自信につながっているという。今後も、「Arcstar IP-VPN」の新しいサービスなどに期待を寄せている。 「技術革新がめまぐるしいネットワークの世界ですが、新しい通信技術に関する情報量が豊富なNTTコミュニケーションズには、いつも良き相談相手として協力してもらっています」とネットワークをはじめとするIT企画を指揮する立場にある望月氏はいう。 今後も、さらなるセキュリティ、サービス品質、ネットワークパフォーマンスの向上などに期待を寄せる新日本石油では、中国にも工場を設立するなど、海外接続を行うニーズも増加の一途にある。現在、主要グループ会社間で構築されるVoIP網も関係会社から、やがては海外拠点にも拡大したい考えだ。 「将来的な拡張性を考えて、サービスメニューの豊富な『Arcstar IP-VPN』を選択し本当に良かったと思います。今後は、新ネットワークをグループ間のさらなる連結強化と海外も見据えたグローバルな競争に勝ち抜く原動力にしていきます」と三中氏。 これからの事業展開と合わせて、企業ネットワークでも先端を行く同社の意気込みは、力強い。 本文にある肩書き・職制は、2003年3月31日までのものです。 2003年4月1日以降は、それぞれ以下のように変更になっています。 三中 茂氏:新日石インフォテクノ株式会社 取締役総務部長 横山 滋氏:新日石インフォテクノ株式会社 システム開発部部長 望月 衛氏:新日本石油株式会社 情報システム部 IT企画グループ |
エネルギーの安定供給をはじめとし、地球温暖化などの環境問題への対応、石油・電力・ガスなどのエネルギーのボーダレス化などの課題の中で、石油業界は新たな時代を迎えている。 2002年に日石三菱株式会社は、新日本石油株式会社に社名変更し、日本の経済・国民生活に不可欠な石油製品を安定的に供給する重責を担いながら、将来の飛躍に向けて新たなスタートを切った。同年、コスモ石油と精製・物流などで業務提携も果たしている。新社名には、日本を代表する新しい石油会社のイメージを前面に打ち出している。この統合を通じて、「ENEOS」ブランドの導入、グループ精製会社の合併、上流の石油開発部門から中、下流部門でサプライチェーンを構築する一貫操業体制を築いている。 近年では、天然ガス、LNG、石炭、LPGなど、コア・ビジネスである石油事業のみならず、様々な新エネルギー事業、新規事業にも積極的に乗り出す同社。さらに、卸電力供給事業(IPP)やコージェネレーションなどの電気事業が軌道に乗り始めている。 クリーンで高効率な次世代エネルギーシステムとして実用化が迫る燃料電池システムの開発にも積極的に挑戦するなど、エネルギーボーダレス時代を勝ち抜く総合エネルギー企業を目指し、まい進している。 |
西暦(年)
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新日本石油株式会社
主要グループ会社:
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